鼠径部(股関節の前側)に
痛みや違和感を感じたことはありませんか?
この部分の痛みや違和感の原因には
鼠径部周辺の筋肉などの不調はもちろん
生殖器の不調や鼠経ヘルニア/大腿ヘルニアなどがあります。
ですが、上記の原因に当てはまっていないのに
なぜか鼠径部に痛み/違和感がある場合は
その原因は”腰”かもしれません。
今回は
「鼠径部の痛み/違和感と腰」の関係性について紹介します。
鼠径部と腰の関係性は?
”腰”と言っても
「腰のどこなの?」と思いますよね。
今回のケースの場合は
仙腸関節(SIJ: sacroiliac joiont)が
この”腰”にあたります。
なぜなら、今回説明する鼠径部の痛み/違和感には
鼠経靭帯(Inguinal ligament)がキーポイントとなるからです。
鼠経靭帯は
腸骨(上前腸骨棘: ASIS/anterior superior iliac supine)から
恥骨(恥骨結節: pubic tubercle)についていて
骨盤を安定させる役割があります。
また、この鼠経靭帯の下には
血管(大腿動静脈: femoral artery/vein)や
神経(大腿神経: femoral nerve)、
リンパや筋肉などが通っています。
そのため
仙腸関節部分の不調や歪みは
鼠経靭帯に負担をかけてしまうことになり
その結果、鼠径部の痛み/違和感として
症状が出てくることがあります。
ぎっくり腰など、急性的または
仙腸関節部に強い痛みがある場合には
鼠径部の痛み/違和感は感じにくいです。
しかし、仙腸関節部の慢性的な軽度~中等度の歪みや
骨盤周辺の筋力低下による安定性の低下などの場合
鼠経靭帯が過剰に働くことで
そこにハリが出てしまい
その周辺にある筋肉や血管、神経などを圧迫することにより
”腰痛”として症状が出ずに
鼠径部痛/違和感として症状が出ることがあります。
どうやって予防/改善する?
もちろん、仙腸関節部の改善です。
歪みは当然ですが
仙腸関節の柔軟性の低下や
安定性の低下がみられる際には
まずはそれらを改善していきましょう。
歪みは普段の何気ないしぐさや
姿勢、クセなどによるものや
脚の長さの左右差(LLD: leg length discrepancy)による
骨格的によるものなど、理由はさまざまです。
原因をしっかり把握して
完全に治すべきなのか
それとも少し残しておいた方がいいものなのかを
判断したうえで歪みの改善を行いましょう。
仙腸関節の柔軟性・安定性に関しては
どちらか片方だけ治療をしても
改善は見られにくいです。
なぜなら、片方が動きが悪くなっている場合
それをカバーするために
反対側が動きを良くしているからです。
そのため、
骨盤全体の筋肉バランスを整えることと
靭帯(鼠経靭帯を含む)の過剰なハリを
取り除くことが必要になります。
また、お客さん/患者さん本人に
適度な運動やストレッチを日常に取り入れることや
悪い姿勢や動きのクセなどを意識してもらい
原因となり得るもことを最小限に抑えてもらうことで
改善を早めたり、再発を防止することもできます。
もちろん、鼠径部になんの症状のない方でも
日頃から少し気にかけてあげることで
予防にもなります。
最後に
意外と多い
鼠径部の痛みや違和感の原因は
腰(仙腸関節)にあることもあります。
日常の何気ないクセや
姿勢などを見直すことで
改善・予防につながるので
日頃から少し意識してみてください。
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