野球で最も有名なケガと言えば
競技名がそのままついている
野球肘(上腕骨内側上顆炎)でしょうか?
野球肘は投球動作よって
肘の内側に不安がかかることで
ケガを引き起こしてしまう
投手によくみられるスポーツ外傷の1つです。
では、打者としてはどうでしょうか?
打者としても肘を傷めてしまうことはありますが
実は、手首をケガしてしまうことも少なくありません。
そこで今回は
打者としてケガを起こしやすい
”有鈎骨骨折”について紹介します。
有鈎骨骨折って?
有鈎骨は手首にある手根骨の1つで
小指側にあり鈎(フック)をもつ骨です。
この鈎の部分には
手の神経の1つである尺骨神経が通っているので
有鈎骨にダメージが加わることで
この神経を刺激したり損傷してしまうこともあります。
有鈎骨の骨折は
主に直接的な大きな衝撃によるものと
反復的な軽微な衝撃によるもの(疲労骨折)の
2つに分けられます。
直接的な大きな衝撃によるものは
転倒時に手をつくなどの
打撲が原因となることが多く
その場合は強い痛みと皮下血腫などの
顕著な症状が出やすいです。
また、この場合は
1度で骨にダメージ加わるほどの大きな衝撃なので
有鈎骨以外の手根骨の骨折ないしは損傷や
尺骨神経を含む手首周辺のさまざまな組織の損傷を
同時に引き起こすこともあります。
逆に、疲労骨折のタイプは
有鈎骨に小さな衝撃が繰り返し加わることで
結果として骨折を引き起こしてしまうので
痛みを伴わないこともあり、骨折が起こった時に
すぐ明らかな症状が出ないこともあります。
いずれのタイプにしても
尺骨神経のダメージが同時に起こっている場合には
手の小指側や薬指、小指に痛みや痺れなどの
神経症状が出てきます。
そのため、転倒して手をついたり
手首周辺を何かにぶつけるなど
目立ったアクシデントの有無に関係なく
手の小指側に痺れが続くようであれば
一度手首を診てもらった方がいいでしょう。
どうして野球で起こるの?
有鈎骨の骨折は
野球では打者に起こるスポーツ外傷の1つです。
その理由は、バットを握った時に
ちょうどグリップ上に有鈎骨が位置するからです。
そして有鈎骨の骨折は
右打者であれば左手、左打者であれば右手に
起こりやすく、それはバットに加わる
力の流れに関係しています。
例えば、バットを握り方として
右打者であれば右手が上で
左手が下になるように握ります。
そしてバットにボールが当たると、そこが力点
バットを握っている部分が支点、
バットのグリップエンド部分が作用点となり
力がバットに伝わります。
そのため、作用点付近に位置している
左手の有鈎骨には打撃のたびに衝撃が加わることになり
それを数年続けることによって
左手の有鈎骨に疲労骨折を引き起こしやすくなります。
また有鈎骨骨折はテニスやゴルフなど
ラケットやクラブを使うスポーツでも起こり得る
手のケガの1つです。
どうやって予防する?
1度の大きな外力によるものであれ
繰り返しの軽微な外力による疲労骨折であれ
有鈎骨骨折を予防するには
局所的かつ全体的なケアが大切になります。
1度の大きな外力によるものの場合、
その原因が転倒のように
体幹や脚の筋力を向上することで
身体のバランス力高めて予防することが
できるものもあります。
また、ダメージの蓄積を防ぐために
ダメージを修復できるだけの十分な栄養素の補給や
ダメージ/疲労のある周辺の血流の改善も重要なので
普段の食事やストレッチなどの身体のケアも
とても大切なポイントになります。
さらに、十分な睡眠をとって
身体を休めることも修復/回復には欠かせないので
しっかりと睡眠時間を確保できるように
タイムスケジュールを整えたり睡眠の質を改善することも
予防のためのポイントの1つです。
最後に
野球の打者に起こりやすい有鈎骨骨折は
野球以外にもテニスやゴルフなど
グリッピングを必要とするスポーツでも
起こり得る手のケガの1つです。
手/手首周辺のケアはもちろん
食事や睡眠など身体の健康維持・改善の
基盤となることにもしっかり気を配って
できるだけ骨折が起こらないようにしましょう。
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