前十字靭帯損傷や断裂、
スポーツ経験者やスポーツ観戦が好きな人なら
一度は耳にしたことはあるであると思います。
でも、前十字靭帯損傷がどんなものなのかは
わからない方も少なくないと思います。
そこで今回は
膝のスポーツ外傷の代表格である
前十字靭帯損傷について紹介します。
前十字靭帯損傷って?
前十字靭帯は膝関節内にある靭帯の1つで
大腿骨の後方の外側から
脛骨(すね)の前方の内側に向かってついています。
この靭帯は、下腿(膝から下)が
大腿骨から前に出ないようにしていて
反対に大腿骨が下腿から後ろに出ないようにしている
後十字靭帯と対になって膝関節を安定させています。
そもそも関節は骨端同士を滑らせることで
関節の動きを起こしているので
膝関節は曲げる時には大腿骨が脛骨に対して
後方に回るように滑っていて
伸ばす時には前方に回るように滑っています。
そして、膝関節は関節の構造上、
大腿骨の外側(大腿骨外側顆)と内側(大腿骨内側顆)の
大きさの違いや関節面の広さの違いから
膝関節の曲げ伸ばしの際に
下腿の回旋(捻る)運動を起こすことで
そのギャップを補っています。
これらの動きの際、脛骨が大腿骨より
前に出ないようにしている前十字靭帯は
ジャンプの着地のような強い衝撃を伴う
瞬発的な膝関節の曲げ伸ばしや
走っている最中の急な方向転換によって
大きな負担がかけられて損傷もしくは
断裂を引き起こしてしまいます。
また、膝周辺への直接的な外力、
特に後ろや外側からの外力でも
その衝撃の強さやその時の態勢よって
前十字靭帯を傷めてしまいます。
前十字靭帯を損傷するとどうなる?
前十字靭帯を損傷した場合
膝の安定性が低下してしまい
歩行時など膝が少し曲がった状態で体重をかけた時に
膝が抜けるような感じになってしまい
受傷時には膝から崩れ落ちるように
転倒することが多いです。
また、前十字靭帯を損傷する原因となる動きや衝撃は
その近くにある内側半月板や
内側側副靭帯の損傷原因にもなるので
重度の場合にはこれら3つすべてが
損傷してしまい(不幸の三徴候)
競技復帰への困難さが高くなり
場合によっては引退を余儀なくされることもあります。
さらに、前十字靭帯自体の損傷が大きくなくても
その付着部分の骨が剥がれる(剥離骨折)を
起こしてしまうこともあります。
ただし、これは主に骨の強度が低い
子どもに起こることが多いです。
前十字靭帯損傷の対策は?
前十字靭帯の損傷の原因を大きく分けると
スポーツ/運動によるものか
事故(特に交通事故)によるものかの2つで
正直、事故によるものは気をつけていても
仕方のない部分があります。
そのため、前十字靭帯を損傷しやすい
スポーツ/運動をしているのであれば
筋トレによる関節の安定性の強化と
柔軟やマッサージによる身体のケアで
疲労・ダメージの蓄積を最小限に抑えることです。
筋力が不十分の状態で膝に負担のかかることすると
膝を安定させるうえで靭帯への負担が大きくなるので
その分、靭帯を損傷するリスクが高くなります。
また、プレー/運動後のストレッチやマッサージは
身体の循環をよくしてくれるので
プレー/運動中に起こる微細なダメージの修復や
疲労の回復を促進することができ
蓄積を最小限に抑えることができます。
そして、一番大切なのが
不調や違和感を感じた時には
プレー/運動を中断することです。
プロのアスリートであれば言わずもがなですが
特にアマチュアや中高生アスリートは
違和感程度であれば放置してしまうことも
少なくありません。
ですが、不調や違和感は黄色信号ではなく
赤信号の点滅、つまり一旦停止信号です。
不調や違和感を感じている時点で
目に見えたダメージや損傷はなくても
何かしら不具合が生じています。
この段階で状態をしっかり把握して
不調や違和感を改善させることで
ケガを未然に防ぐことができます。
最後に
アスリートのケガのニュースなどで
よく耳にする前十字靭帯損傷は
重症度合いによっては選手生命を脅かすもので
損傷した場合には競技復帰までに
時間と気力を要するケガです。
スポーツで言えば、バスケ、バレー、サッカー、
ラグビー、テニス、新体操(特に床)など
多岐にわたる競技で起こり得るケガの1つです。
最低限、筋力強化とストレッチをしっかりして
ケガを起こさないようにすることが大切です。
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