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執筆者の写真trefle osteo

胸郭出口症候群(TOS)

胸郭出口症候群(Thoracic outlet syndrome: TOS)とは

胸郭の出入り口(鎖骨周辺)で

血管や神経が筋肉や鎖骨に圧迫されることで

手や腕に痺れや脱力感、痛みが出てくるものです。


ほとんどの場合は神経が圧迫されることによって起こり

血管の圧迫によるものは

全体の約5%以下(4%→静脈、1%以下→動脈)です。




胸郭出口症候群のタイプ

胸郭出口症候群は神経や血管が

圧迫される場所が主に3か所あります。


斜角筋三角部(Scalene triangle)


胸郭出口症候群

首には3つの斜角筋(前・中・後)があり

このうち前斜角筋と中斜角筋、

それらの筋肉の付着部である第1肋骨によって

斜角筋三角部が構成されています。


この斜角筋三角部には

腕神経叢と鎖骨下動静脈が位置しています。


そのため

前斜角筋や中斜角筋のハリやコリによって

このスペースが狭くなると

神経や血管を圧迫してしまうことがあります。


また姿勢の悪さ(猫背など)や

ストレスなどで呼吸が浅くなることにより

第1肋骨の動きが悪くなり(挙上した状態)

このスペースを狭めてしまうこともあります。


さらに骨折後などの変形した第1肋骨や頚肋により

このスペースで神経や血管が圧迫される場合もあります。


※頚肋:第7頚椎から出ている”第0肋骨”。

多くの場合は肋骨は胸椎からのみ出ている。


鎖骨と肋骨の間(Costoclavicular space)


胸郭出口症候群

斜角筋三角部を通っている

腕神経叢と鎖骨下動静脈は

斜角筋の間を通って後

鎖骨と第1肋骨の間を通って腕に向かいます。


このスペースでは特に

鎖骨や肋骨の形の影響を受けることが多く

先天的なそれらの骨の形によるものや

骨折などが原因で

後天的に骨が変形してしまうものがあります。


また鎖骨下筋のハリやコリが原因で

鎖骨が下方向に引っ張られることにより

このスペースが狭まることがあります。


小胸筋の下(Subcoracoid space)


胸郭出口症候群

小胸筋は肩甲骨の烏口突起から第3~5肋骨についています。

その小胸筋と肋骨の間のスペースに

腕神経叢と腋窩動静脈が通っています。


このスペースでは

小胸筋のハリやコリ

ストレスなどにより呼吸が浅くなることによって

肋骨(第3~5肋骨)が持ち上げられて

スペースが狭められることで

神経や血管が圧迫されてしまいます。



その他にも胸郭出口症候群は

まずは神経性か血管性かに分けられます。


神経性は全胸郭出口症候群のうち約95%を占めていて

症状としては

痺れや感覚異常、痛み、脱力感/筋力低下があります。


血管性は全胸郭出口症候群のうち約5%ほどで

そのうち約4%は静脈性で、動脈性は1%以下です。


血管性の症状は

静脈性の場合は指や手、腕の浮腫み

胸部の静脈の怒張(浮き上がる)がみられます。

動脈性の場合は指や手、腕の蒼白や冷え

脈圧の低下がみられます。


これらの症状は

神経や血管の圧迫されている場所によって

その範囲が変わってきます。


<見極め方(徒手検査法)>

・Adson's test:斜角筋三角部

・Wright's test:小胸筋の下

・Eden's test:鎖骨下

・Allen's test:血管性



胸郭出口症候群の原因

胸郭出口症候群の原因としては

先天的な骨の形などの骨格的な特徴によるものや

骨折などにより後天的に骨の形が変わることによるもの、

使いすぎによる筋肉のハリやコリによるもの、

筋力トレーニングによる筋肉の肥大によるものなどがあります。


割合としては女性に多くみられます。

その理由としては

筋力の低さから筋肉にハリやコリが出やすかったり

小柄な方の場合には

もともと神経や血管が通る隙間が狭かったりすることが挙げられます。


しかし、スポーツ選手など

激しめの筋力トレーニングをされている方においては

男性にも多くみられます。


またストレスなどによって

呼吸が浅い状態が続くと

斜角筋群にハリやコリが出てきやすくなったり

第1,2肋骨の動きが低下してしまったりして

神経や血管の通る隙間が狭くなって

胸郭出口症候群になってしまうこともあります。


その他にも猫背などの悪い姿勢では

小胸筋のハリやコリもみられるため

その下を通る神経や血管が圧迫されることもあります。



どうやって改善する?

基本として、隙間を開けてあげる施術を施してあげます。


筋肉のハリやコリが原因なのであれば

それを取り除いてあげたり

肋骨の動きを良くしてあげます。


また原因によって

患者さん自身にストレッチを推奨したり

筋力トレーニングを控えてもらうなどの指導も必要になります。


※ストレッチを行ってもらう場合には

痛みや違和感、症状の悪化などが見られた時には

すぐに中断するように伝えることを忘れないでください。


さらに胸郭出口症候群が

姿勢によるものやストレスなどによるものの場合

それらに対してのアプローチも必要になります。


<施術例>

・STM:斜角筋、小胸筋、背中など

・MFR:胸部、背中など

・MET:斜角筋、小胸筋、ローテーターカフ、横隔膜(diaphragm doming)など

・BLT:第1肋骨、胸郭、首など、

・その他:頭蓋仙骨療法、rib raising、vagus n.(迷走神経)releaseなど



最後に

胸郭出口症候群は

痛みと同時に痺れなどの神経症状や

浮腫みなどの血液循環の症状が伴います。


また原因には

骨格や筋肉、精神面(ストレス)などさまざまなので

治療の際には何が一番関係してるのかを明確にする必要があります。

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