椎間板ヘルニアとは首から腰にかけての骨(椎骨)の間にある
椎間板が本来ある位置から飛び出した状態のことです。
そして飛び出した椎間板が神経を圧迫することによって
痛みや痺れなどの症状が出てきます。
椎間板ヘルニアってどこで起こるの?
椎間板ヘルニアはその名の通り
椎間板があるところ(C2~S1)で起こります。
そのため発生場所としては
① 首(頚椎椎間板ヘルニア)
② 背中(胸椎椎間板ヘルニア)
③ 腰(腰椎椎間板ヘルニア)
の3か所です。
特にL4/5とL5/S1での発生頻度が高く
椎間板ヘルニア全体の約9割を占めています。
スポーツ人口の割合や肉体労働の多い男性に起こることが多く
女性と比較すると約2倍ほど多いです。
また背中の椎間板ヘルニアの発生頻度は低く
職種や仕事内容、姿勢などによって
首での発生率は高くなります。
椎間板ヘルニアの種類
※写真は腰椎の椎骨と椎間板です。
① Bulging:
椎間板の線維輪が
本来の椎間板の位置する範囲から突出した状態で
髄核は線維輪内に維持されています。
”ヘルニアになりかけ”の状態です。
② Herniation
a. Protrusion
髄核は線維輪内に維持されていますが
線維輪と髄核ともに本来の位置から突出した状態です。
b. Extrusion
髄核が線維輪から突出し始めている状態で
まだ進行の余地のある状態です。
③ Sequestration
髄核が完全に線維輪を破り外に出ている状態です。
激しい痛みと顕著な神経症状が出てきます。
また椎間板の突出する方向によって症状が変わってきます。
※写真は腰椎のSequestrationの状態の椎間板ヘルニアです。
基本的には椎間板の後ろには黄色靭帯があり
その靭帯によって真後ろへの突出ができないので
左右どちらかに突出することが多く症状は片側のみに出てきます。
しかし、何らかの原因によって
この黄色靭帯が脆弱化していたり
破れるなどの損傷を受けている場合
椎間板が真後ろに突出してしまうことがあります。
椎間板が真後ろに突出してしまった場合
脊髄を圧迫してしまうことになるので
症状は両側に出て
かつ椎間板ヘルニアが起きているところから下の範囲でも
神経症状が認められることがあります。
椎間板ヘルニアになった時の症状
椎間板ヘルニアになった時の症状の1つ目としては痛みです。
椎間板ヘルニアが起きた周辺に痛みを生じます。
Bulging → Sequestrationにかけて痛みは強くなり
Sequestrationの状態の時には
我慢できなくなったり日常生活に支障が出始めます。
2つ目の症状としては神経症状です。
神経症状には
しびれや感覚異常、腱反射の低下、脱力感などがあります。
首で椎間板ヘルニアが起こった場合
腕や手、指に神経症状が出ます。
腱反射は上腕三頭筋、上腕二頭筋、総指伸筋で行います。
背中で椎間板ヘルニアが起こった場合(一番頻度が低い)は
肋骨付近に神経症状が出ます。
また自律神経のうち交感神経が胸椎神経から出ているので
消化器官に問題が生じることもあるでしょう。
腰で椎間板ヘルニアが起こった場合
腰やお尻、脚に神経症状が出ます。
また初期症状として躓きやすくなることがあります。
腱反射は膝蓋腱(大腿四頭筋)と
アキレス腱(下腿三頭筋:腓腹筋、ヒラメ筋)で行います。
腰椎椎間板ヘルニアで
椎間板が真後ろに突出した場合や深刻なSequestrarionの場合
馬尾症候群(Cauda equina syndrom: CES)を引き起こす可能性があります。
一般的な腰椎椎間板ヘルニアの症状に加えて
両内腿の上部の神経症状や排尿排泄障害(尿や便が出にくさ)が生じます。
激しい腰や脚の痛みや神経症状が両側で出ていたり
同時に尿や便の出にくさを感じたときは
早急に病院に行って検査を受けましょう。
いずれにしても椎間板ヘルニアの診断には
CTやMRIなどを用いた画像診断が必要です。
上記のような症状があったり
整骨院などで椎間板ヘルニアの疑いがあると指摘された時には
病院や整形外科で詳しい検査を受けましょう。
椎間板ヘルニアの治療法
椎間板ヘルニアの治療法としては
観血的療法(手術)と非観血的療法(手術以外)があります。
しかし椎間板ヘルニアになったからと言って
必ず手術が治療の選択肢に入ってくるわけではありません。
多くの場合は手術以外の方法で症状を緩和させていきます。
一度抜け出てしまった髄核は元に戻ることはなく
髄核が出た分椎間板の厚みがなくなってしまうため
椎間板ヘルニアとしての症状がなくなっても
椎骨同士の隙間が狭くなったままの状態になってしまいます。
それにより神経が圧迫されてしまい
痛みやしびれなどの神経症状が残ってしまうことがあります。
そのため椎間板ヘルニアの治療は
椎骨同士の隙間を維持するためのものや
手術により狭くなった隙間を広げるようなものが大半を占めます。
手術以外の治療法としては
まずはマッサージやストレッチなどにより
椎間板ヘルニアによって強ばってしまった
周囲の筋肉や軟部組織を緩めてあげます。
また椎間板ヘルニアを起こした周辺の筋力トレーニングにより
椎間関節の安定化と椎骨同士の隙間が狭くならないようにします。
最後に
腰に一番多く起こる椎間板ヘルニアですが
職種や仕事内容などによっては
首で起こる可能性が高くなってしまうこともあります。
治療法とされている
マッサージやストレッチ、筋トレなどは
予防法としても活用することができます。
また普段の姿勢や身体の使い方の改善により
椎間板ヘルニアの発症リスクを下げることもできるので
日常生活のなかで少し気を付けてあげることで
リスク回避をしていきましょう。
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