"腰痛" と一口に言っても原因はさまざまで
腰椎症や骨折などレントゲンのように
画像で確認できる状態以外の
腰痛は原因を明確にすることは
とても難しいです。
そして、「腰が痛い」と言っても
ウエストあたりの背面である
"腰部" を指す人がいたり
その下にある "骨盤部" を指す人がいたりと
場所もさまざまです。
そこで今回は、腰痛の1つの原因であり
ぎっくり腰を起こす関節でもある
仙腸関節捻挫について紹介します。
仙腸関節って?
そもそも仙腸関節ってどんな関節でしょう?
仙腸関節は骨盤にある関節で
腰の下の方の真ん中にある逆三角形の仙骨と
その両側にある2つの寛骨を
連結している関節です。
この関節は構造上、また
主に4つの靭帯によって固定されているので
関節自体の動きはとても小さく
約2mmもしくは5度以下だと言われています。
関節の動き自体は小さいですが
身体を前後に倒したり
歩くなど脚を前後に動かすときに
より身体の負担を軽減できるように
スムーズな動きをサポートしています。
そのため、
肩や肘、股関節や膝のように普段から意識して
この関節を動かしている人はいません。
ただ、普段意識して動かしていないからこそ
気づかないうちに関節が不調を起こしていたり
気づいた時には慢性的な状態になっていたりします。
仙腸関節捻挫の原因は?
仙腸関節を捻挫してしまう原因は
大きく分けて3つです。
・関節の不安定性(靭帯の緩みや筋力の低下)
・身体のアンバランス
・突発的なケガ(腰/骨盤部の打撲など)
まず、関節の不安定性に関しては
性別や年齢なども関係してきます。
女性は月経周期において
身体のホルモンバランスが随時変わっています。
そして、排卵後~月経の間では
ホルモンの影響で妊娠・出産の準備として
骨盤周りの靭帯が緩んでしまいます。
靭帯が緩んでしまうと
周辺の筋肉が安定性を保つために
それまで以上に力を出し続けなければいけないため
筋肉は疲労を溜めやすくなるうえに
筋力が十分でない場合には関節がうまく保たれずに
靭帯が伸ばされてしまうので
痛みを生じやすくなります。
また、年齢などによる筋力の低下も
これと似たようなことが起こります。
次に身体のアンバランスについてです。
そもそも人の身体は
左右非対称であることがほとんどで
腕や脚の長さなどミリ単位でのズレは当たり前です。
ですが、そのズレが大きかったり
普段の身体の使い方のクセによって
身体への負荷のかかり方が左右で違ったり
筋肉バランスが崩れてしまうことで
身体への負担は大きくなります。
仙腸関節の場合には、主に骨盤部から下の
脚の長さの違いやお尻や脚の筋肉バランスの影響を受けます。
そのため、身体の使い方の改善や
筋トレやストレッチによるアンバランスの改善、
靴の中敷きによる脚の長さの調整などで
なるべく仙腸関節への負担を軽減させます。
ただし、脚長差に関しては
基本的に20mm以上の差がなければ
中敷き/底上げなどは行わずに
筋トレやストレッチによって対応することがほとんどです。
最後に突発的なケガについてです。
ケガに関しては
仙腸関節部もしくは骨盤部への打撲によるものや
ぎっくり腰のように
何かを持ち上げるなどの動作で起こる
捻挫によるものなどがあります。
打撲によるものは
何かがぶつかったり転倒や転落による
アクシデント要素の強いものですが
ぎっくり腰などの捻挫によるものは
筋トレやストレッチ、身体の使い方の改善で
起こりにくくすることができます。
症状の予防/改善策は?
症状としては、腰の下部の痛みです。
そして、その多くの場合
痛いところをピンポイントで指させることです。
原因がさまざまある腰痛ですが
痛いところを明確に把握することは難しく
「この辺りが痛い」となることが多いですが
仙腸関節に痛みの原因がある場合
「ここが痛い」と関節部分を指して
痛みの場所をはっきりと伝えられることが多いです。
そして、痛みのタイミングとしては
・長時間座った状態の時(車の運転も含む)、
・座った状態から立ち上がる時、
・痛みがある側を下にして寝る
・痛みがある側の脚にだけ体重をかけた時
などがあります。
また、症状が慢性化していると
・動きはじめ/歩きはじめ
・朝の寝起きの時
など、ほとんど動かしていない状態から
動き始めるときに痛みを感じやすく
動いていると楽になってきます。
痛みが太もも(特に裏側)に
放散することがありますが
基本的には膝から下にまで放散することはないです。
※痛みやしびれが膝下にまである場合は
腰部(ヘルニアなどの腰椎症など)を
確認する必要があります。
そして、通常しびれなどの神経症状はありませんが
仙腸関節の不具合で周辺の筋肉に
ハリやコリが生まれることで
結果的に神経症状(坐骨神経痛など)が
出てしまうことがあります。
仙腸関節を負傷したとき
打撲やぎっくり腰などのケガの場合は
まずはアイシングをして安静にしましょう。
そして痛みがなくなったら
筋トレやストレッチで
関節の補強や柔軟性の向上を図ります。
慢性腰痛のように
長期に渡って痛みがある場合には
痛みのない範囲内で
筋トレやストレッチをします。
ただ、長期間痛みがあると
周辺の筋肉の過剰なハリやコリがあったり
痛みを避けようと姿勢や歩き方が
変わってしまっていることが多いので
マッサージなどでケアを行ったり
姿勢や歩き方の改善も同時に行うことも大切です。
またケガの直後や痛みが強いときに
コルセットを利用することがあると思いますが
不必要に長期間使い続けると
腰や骨盤部の筋力が低下してしまうので
いつまでたっても
「コルセットが手放せない」状態になってしまい
腰や骨盤周辺を中心に
さまざまな不調の原因となってしまうので
症状が落ち着ているときには
コルセットを外して筋力をつけるようにしましょう。
最後に
腰痛の原因で多い原因の1つである仙腸関節は
簡単な運動やストレッチなどで
症状を改善することができるので
気になる方はいますぐ取り入れてみてください。
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