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執筆者の写真trefle osteo

Radio-humeral gapping

前腕は橈骨(Radius)と尺骨(Ulna)の

2本の骨で構成されていて

肘関節の屈曲伸展運動には

上腕骨と尺骨の関節(腕尺関節:Humero-ulnar joint)と

上腕骨と橈骨の関節(腕橈関節:Radio-humeral joint)が、

前腕の内側/外側の捻り運動には腕橈関節と

橈骨と尺骨の関節(橈尺関節:Radio-ua/ulnar joint)が

主に大きな役割を果たします。


今回はこれらの関節の中でも

腕橈関節に関わるテクニックを紹介します。




腕橈関節ってどんな関節?

先ほど説明したように

腕橈関節は肘関節の屈曲伸展運動だけでなく

前腕の捻り運動(回内/回外)に関係する関節なので

腕尺関節に比べて骨だけでの安定性が低く

靭帯(外側側副靭帯:Lateral collateral ligament)によって

安定性を高めています。


Radio-humeral gapping
Radio-humeral gapping

また、外側側副靭帯の近くには

橈尺関節を安定させる輪状靭帯(Annular ligament)があり

前腕の回内/回外運動の際に

橈骨が尺骨から離れないようにしています。


さらに腕橈関節は

周囲の筋肉、特に手指を伸ばしたり(伸展)

手首を手の甲に向かって反らす動き(背屈)をする筋肉によって

橈骨が上腕骨から離れないようにしています。


そのため、腕橈関節が正常に機能しないと

肘の動きが全体的に悪くなったり

場合によっては

動かした時に違和感や痛みが生じたりします。



Radio-humeral gappingはどんな時に使う?

Radio-humeral gappingは

腕橈関節の関節の隙間が狭くなっている時

動きが悪くなっている時に使われます。


これらの原因には

腕橈関節周辺の皮膚や筋肉、靭帯などの柔軟性の低下

腕橈関節が正常な位置にないことなどが挙げられます。


そのため、手指(第2~5指)を伸展運動や

手首の背屈運動を日常的に行う人は

腕橈関節周辺にある筋肉にハリやコリが生じて

関節の動きが悪くなることがあります。


また上記のような動きをしなくても

手首が手のひらに向かって曲がる(掌屈)動きを防ぐ時には

手指の伸展運動や手首の背屈運動の時と

同じ筋肉が使われるので

手のひらを下に向けた状態で何かを持ち上げたり

テニス(バックハンド)や

野球(バッティング)などのスポーツをしている人にも

同じようなことが起こりやすいです。


そして、腕橈関節周辺の筋肉を短期間で高頻度に使いすぎたり

もしくは筋肉に瞬発的に大きな力を要した場合や

また長期間に渡って筋肉の柔軟性が低下することで

腕橈関節に”ズレ”が生じて

関節運動が正常に行えなくなってしまうこともあります。


Radio-humeral gappingはテクニックとしては

抵抗に向かって力を加えるので

ダイレクトテクニックに分類され

また、抵抗を感じるポジションから

瞬発的に小さな振幅の力を加えるのでHVLAの一つです。


そのため、瞬発的な動きによって

関節周辺の筋肉の柔軟性を高めたり

ズレが生じている関節を正常の位置に戻すことができます。


ただし、HVLAは”最終奥義”のような

位置づけのテクニックなので

STMやBLT、METなどHVLA以外のテクニックで

改善があまり見られなかった時に使うようにしましょう。



どんなことに気をつけたらいい?

このテクニックを行う時に

一番気を付けなければいけないのは関節の状態です。


関節ネズミ(関節遊離体)のように

関節内に異物があるような状態

変形性関節症のように

関節の変形によって動きが制限されている場合には

このテクニックを施すことによって

症状の悪化や関節内を傷つけてしまうなど

関節の状態をさらに悪くしてしまう危険があります。


また、このテクニックは

上腕骨と前腕の両骨を利用して行うので

これら骨に骨折などのケガがない状態

また骨粗鬆症などでこのテクニックによる

骨折の危険性がない状態でなければいけません。


そのため、施術を行う際には

問診や徒手検査による情報収集、

必要であれば画像診断を行って

関節内や関節周辺に問題がないことを確認したうえで

テクニックを施す必要があります。


もちろん、上記の条件を満たしたうえで行っても

テクニックの最中に違和感や痛みを訴えられることもあります。


その時にはHVLAは行わずに

このテクニックのポジションのままMETを行ったり

Articulatory techniqueを行ったりして

このテクニックに近い効果を得ることもできますが

ポジション的に違和感や痛みを増加させてしまう場合には

テクニックはただちにやめて

他のテクニックを用いて改善を行ってください。



最後に

Radio-humeral gappingは

肘関節の中でも腕橈関節に特化したテクニックで

関節の動き改善する効果がありますが

適切に行わないと

関節を痛めてしまったり症状が悪化することもあるので

事前に関節とその周辺の状態をしっかりと把握したうえで

テクニックを行いましょう。

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